要求書全文



京都市長  門川 大作 殿

京都 ママ・パパの会

10μSv/年 以上の「震災ごみ」を京都市で焼却しないでください。

東日本大震災による災害廃棄物について,環境省は全国の自治体に処理を打診し(※1),京都市は「年間約5万tが受入れ可能」と回答しました。厚生労働省・経済産業省・環境省は福島原発から半径20km以内の避難区域及び計画的避難区域内の,放射性物質により汚染されているおそれのある災害廃棄物は,当面の間,移動及び処分を行わない方針(※2)を示しており,これを根拠に京都市は,「本市においては,放射性物質により汚染されているおそれのある災害廃棄物は,受入処理を行いません。」と言っています。

放射性物質により汚染されていないものは受入れるべきでしょう。しかし,避難区域及び計画的避難区域外,福島県外でも,大気や土壌から高濃度の放射性物質が検出されている地域があります。また,東京都の汚泥焼却施設近傍では,空気中にセシウムを含むダストが舞上がる「二次汚染」の可能性が報告されました(※3)。国の災害廃棄物安全評価検討会は「会津地方のがれき(約0.5μSV/時)と同等線量であれば従前通り処分する」(※2)としていますが,0.5μSv/時という数値は従来の放射性廃棄物の基準値(10μSv/年)の438倍にあたり,事故前であれば放射性廃棄物として厳重に管理・処分されていたレベルのものです。避難区域及び計画的避難区域外のもの,福島県外のもの,438倍に緩和した基準によって一般廃棄物と判断されたものが,放射性物質で汚染されていないとは言い切れません。

放射性物質は,いったん拡散すると回収・除染が非常に困難なので,拡散させないことが重要です。住民(特に子どもたち)や焼却業務に携わる方々の健康を守るため,そして避難中の被災者の方々が安心して暮らせるように,

京都市へ10μSv/年以上の震災ごみを持ち込まないこと,京都市で焼却しないことを,強く要望します。


※1 環境省「災害廃棄物の広域処理体制の構築の協力要請」「災害廃棄物の受入可能量等に係る照会」(4月8日付)
※2 厚生労働省,経済産業省,環境省「福島県内の災害廃棄物の当面の取扱い」(5月2日)
※3 山内知也(神戸大学大学院教授)「放射能汚染レベル調査結果報告書 東京都江東区における放射能汚染レベルと東部スラッジプラントが抱えている問題」